ハーフトレンド(HalfTrend):直近のスイング水準を守る階段状のトレンドライン
ハーフトレンドは、価格チャート上に階段状のラインを一本引きます。上昇区間では、その動きが守ってきた最も高いスイング安値を保持し、直近の足の安値がそれより上に切り上がったときだけ一段上がります。下降区間では最も低いスイング高値を保持し、一段ずつ下がります。ラインが転換するのは、ヒゲ一本ではなく足全体がその水準を抜け、さらに終値が確認したときだけで、ラインの周りには直近のボラティリティに基づくチャネルが描かれます。このページでは、その組み立て方、スーパートレンドとの違い、先物トレーダーの使い方、そして戦略ジェネレーターがお手持ちの銘柄でどう検証できるかを説明します。
何を測るのか
ハーフトレンドは、終値の平均からではなく価格の構造から引かれるトレンドフォロー型のラインです。伝えることは一度にひとつだけで、相場がいま上昇区間か下降区間か、そしてその区間がここまで守ってきた水準はどこか、という点です。起源ははっきり記録されていません。チャートツールのユーザーコミュニティで無料のスクリプトとして広まったもので、このページでは広く使われている公開版に沿って説明します。
その公開版の計算は、いくつかの簡単な手順に分けられます。まず振幅と呼ばれる短い期間をさかのぼり、その期間の最高値と最安値、そして高値の単純平均と安値の単純平均を記録します。トレンドが上向きの間は、直近の最安値のうち最も高いものを記録し続けます。この保持された水準がラインそのものなので、ラインは上がるか横ばいになるだけで、下がることはありません。下向きに転換するには、同じ足で二つのことが同時に起きる必要があります。直近の高値の平均が保持された水準を下回ること、そして終値が一本前の足の安値を下回ることです。その瞬間もラインは位置を変えず、直前の値にとどまります。価格はすでにその下に落ちています。そこから処理は鏡写しになります。直近の最高値のうち最も低いものを保持し、直近の安値の平均がそれを上回り、終値が一本前の足の高値を上抜けたときだけ上向きに転換します。ラインの周りには、長い期間で測った ATR の半分に、選んだ倍率を掛けた距離でチャネルが描かれます。
ここから二つのことが言えます。第一に、ラインと価格の距離はボラティリティではなく構造で決まります。安定した上昇区間では、直近に守られた安値のすぐ下に位置し、相場がより高い安値をつけたときだけ動きます。第二に、転換には単なる接触以上のものが必要です。ヒゲがラインを突き抜けても、終値が一本ラインの反対側に出ても、期間の平均がまだトレンド側にあれば転換しません。チャネルは、その動きをボラティリティの尺度に置き換えます。保持された水準をチャネルの幅以上に抜けたなら、その銘柄の最近の値動きの荒さと比べて大きなブレイクだと言え、ルールの側でそうした大きなブレイクを待ってから動くこともできます。
実際の相場での振る舞い
スーパートレンドと比べると、違いはボラティリティがどこに入るかです。スーパートレンドは足の中心から ATR の倍数だけ離れた位置にラインを置くため、ボラティリティが急に高まるとラインが広がり、価格から遠ざかります。ハーフトレンドのラインは、ボラティリティがどう動いても直近に守られたスイングの極値にとどまり、ボラティリティが決めるのは周りのチャネルだけです。きれいなトレンドでは、平らな棚が一段ずつつながった階段になり、どの棚も相場が守った切り上がる安値か切り下がる高値です。押し目が棚の上で止まれば判断は変わらず、転換には期間の平均も一緒に抜ける必要があるため、短いスパイクがラインを突き抜けても、たいていその区間は終わりません。
パラメーターの決め方は、主に振幅の選び方です。期間を短くすると平均が素早く反応し、ラインが段を刻む回数が増えて転換も早まりますが、数本で逆戻りする転換も増えます。期間を長くすると保持される水準も平均も遅くなり、長い区間に乗れる一方、転換までに戻す幅も大きくなります。公開版では、チャネルの設定はチャネルの幅を変えるだけで、ラインがいつ転換するかは変えません。そのためダマシを減らそうとチャネルを広げても、転換の位置はまったく変わらず、動くのはチャネルを基準にした損切りやフィルターだけです。意味のある比較は、転換の頻度と区間の長さが異なる時期でも保たれるかどうかであり、一枚のチャートで最もきれいに見えた設定を選ぶことではありません。
よくある読み違いは二つあります。一つ目は、すべての転換を反転とみなすことです。上下に振れるレンジ相場では、高値の平均と安値の平均が保持された水準の周りをうろつき、ラインは転換してはまた戻り、チャートには買いと売りの矢印が交互に並びます。一つひとつの転換は、守られていた水準がわずかに破られたことを示すだけで、天井や底を示すものではありません。レンジの中で毎回新しい取引として受けると、小さな往復ビンタが続きます。直近の転換回数を数えるか、別のレンジ判定フィルターを加えるのが一般的な対処です。二つ目は、ラインが自分の過去を書き換えるという思い込みです。広く使われている公開版は、現在の足とそれ以前の足だけを読み、それ以降の足は使いません。転換の条件には終値も含まれるため、足がまだ形成中の間は、転換が一度現れても終値が確認しなければ消えることがあります。足が確定すれば、その足の転換とラインの位置は固定されます。シグナルを確定足で読み、バックテストも同じ方法で行えば問題はなくなります。リペイントに見えるものは、まだ動いている足が決まっていないだけです。
代表的な使い方(考え方)
確認された転換で仕掛ける
上向きの転換が終値で確定した足(ラインが価格の下側に入れ替わった足)で買い、下向きの転換が確定した足で売ります。転換そのものが期間の平均と終値の一致を求めているため、ヒゲ一本のスパイクは無視されます。それでも、相場にそもそもトレンドがあるかを別に確認するとよいでしょう。
階段の棚に損切りを置く
別のルールで仕掛けたあと、ラインを損切りとして使います。相場が新たに守られた安値か高値をつけたときだけ動くので、損切りは一定の距離ではなく実際の構造の下に置かれ、平らな区間はトレンドが試された場所を示します。
チャネルの外までのブレイクを求める
より厳しく読むなら、終値がラインの反対側のチャネルを抜けたときだけ動くか、上昇区間で終値が下側チャネルを割ったら買いを手仕舞います。ボラティリティで広げた余裕幅を超える動きを求めることで、保持された水準をかろうじて越えただけの転換をふるい落とせます。
ほかの系統のインジケーターとの組み合わせ
ハーフトレンドはいまの区間を示しますが、相場にそもそもトレンドがあるかは示しません。チョピネス・インデックスや ADX を使えば、転換に注目すべきときを判断できます。相場が秩序立って方向を持つときは採用し、横ばいに漂うときは見送ります。横ばいこそ、ラインが行き来する場面です。
ラインはスイングの構造から、チャネルは ATR から作られるため、ハーフトレンドはトレンドを別の方法で組み立てるツールと相性がよいです。ハル移動平均線は滑らかな傾きでラインの向きを確認でき、この組み合わせはコミュニティで共有されているスクリプトにも見られます。ドンチャンチャネルのブレイクで仕掛けのタイミングを取り、ハーフトレンドで方向と手仕舞いを決める分担もできます。
スーパートレンドや パラボリックSAR と重ねても、見た目ほど情報は増えません。三つとも向きを切り替えるトレーリングラインで、ほとんどの足で同じことを言います。それでも同じ銘柄で比べる価値はあり、その市場が構造に基づく追随、ボラティリティに基づく追随、加速する追随のどれに合うかが見えてきます。
AlphaPrimeでの扱い
AlphaPrime では、ハーフトレンドは戦略ジェネレーターの標準搭載系統のひとつで、条件ブロックのカタログでは「ハーフトレンド HalfTrend」のグループに並びます。調整できる入力は、上で説明した振幅の期間にあたる指標期間、チャネルの幅を決める ATR 期間、そしてチャネルとラインの距離を ATR の半分単位で決めるチャネル乖離倍率です。一部の条件には、足の本数、段の回数、集計期間など独自の設定もあります。
条件の種類は、ライン、区間、チャネルを網羅しています。HalfTrend 買いシグナルと HalfTrend 売りシグナルが転換を、HalfTrend 上昇トレンドと HalfTrend 下降トレンドが状態を示し、終値が HalfTrend 線や上下のチャネルより上か下かで価格の位置を読みます。階段そのものを読む条件もあり、HalfTrend 線が一段上がる、HalfTrend 線が N 本横ばい、HalfTrend 上昇区間が前の区間より長い、などがあります。このページで扱った論点にも対応する条件があり、HalfTrend 上昇中に終値が下側チャネルを割る、終値が HalfTrend 線を上抜けるが転換なし、終値がまだ確認していない段階を示す HalfTrend 買い転換の準備完了、そしてレンジ度合いを直接測る HalfTrend が W 本で N 回以上転換です。
ジェネレーターはこれらをモメンタム、ボラティリティ、出来高、セッションの系統と組み合わせ、候補を GPU で並列にバックテストし、アウトオブサンプルで検証します。アウトオブサンプル検証の基準はご自身で設定でき、見たことのないデータでも崩れない組み合わせだけを残せます。検証を通った組み合わせは取引プラットフォーム向けの戦略コードとして書き出せ、中身を確認したうえでシミュレーションでテストを続けられます。
よくある質問
ハーフトレンドはリペイントしますか?
確定足ではしません。広く使われている公開版は、現在の足とそれ以前の足だけを読み、それ以降の足は使いません。転換には終値の確認が必要なので、まだ動いている足では転換が現れても確定前に消えることがあります。足が確定したあとは、ラインもその足の転換も変わりません。読むときも検証するときも、確定足を基準にしてください。
ハーフトレンドのおすすめ設定は?
どの銘柄にも合う設定はありません。振幅は、ラインが段を刻み転換する速さを決めます。期間が短いほど早く頻繁に転換し、長いほど長い区間に乗って反応は遅くなります。チャネルの設定は幅を変えるだけで、転換には影響しません。いくつかの設定を異なる相場局面で比べ、アウトオブサンプルでも似た振る舞いを保つものを残しましょう。
ハーフトレンドとスーパートレンドの違いは?
どちらも向きを切り替えるトレーリングラインです。スーパートレンドは足の中心からボラティリティ分の距離にラインを置くため、その間隔は ATR に合わせて広がったり縮んだりします。ハーフトレンドは直近に守られたスイング安値か高値を保持し、期間の平均がその水準を抜け、さらに終値が一本前の足の安値を割り込む(または高値を上抜ける)ときだけ転換します。ボラティリティが決めるのはラインの周りのチャネルだけです。

